SELEZIONE
補彩処置とセオリーについて
●充填整形
絵画の欠損部に対して、充填整形を行なう。石膏と兎膠による充填材を筆やスパチュラ等を用いて充填する。乾燥後にメス等により、周辺部のオリジナルの絵具とレヴェルをあわせる。
この際必要があればオリジナルの部分と連絡する表面
のイミテーション(亀裂、タッチ等、テクスチュアの再現)を施す。
●補彩のプロセス
充填材上に水彩絵具(透明もしくは不透明)や樹脂絵具での補彩
を行なう。必要があれば白色の充填材上にガッシュ等によるベースカラーを
施す。補彩の筆致は常に明確な近接した平行筆致(線の弱い交差や集積をも伴う)で行なわなければならない。純色を用いるが、この場合の純色とは三原色のみを意味するのではなく、パレット上で混色されていない色を意味する。この技法の特色である、集積した線の絵具の彩
度を最大限に利用した色彩的振幅とコントラストによる視覚的効果
を損なわない為である。同時に顔料の混色による化学的な不安定要素が取り除かれる。プロセスとして明色から始め、作業の進度に伴い、暗色へと移行させる。
●ワニス処置
補彩が終了した段階で終了ワニスを塗布する。ワニス塗布による屈折率の変化に伴い補彩
の色彩は変化する為、補彩の段階での予測が必要である。
特に不透明水彩絵具を用いた補彩の場合、視覚的変化が著しい為、ワニス塗布後に周辺オリジナル部分と色が合うようにコントロールする(実際よりも明るめに補彩
を入れる)ことが必要になる。
●樹脂絵具による色彩
調整
補彩部分と周辺オリジナルとの色彩の格差を補正する必要性がある場合、樹脂絵具による最終的な色の調整を行なう。樹脂絵具
は特性上、前述のようなワニスによる著しい視覚的変化が見られない。