パラッツオ・スピネッリ芸術修復学院 日本校 学院長 船山千尋 イタリア共和国勲章 コッメンダトーレ
卒業生へ
ご卒業、おめでとうございます。
コロナ禍、友との繋がりの大切さに目覚め、命の尊さに、改めて気付かされたのだと思います。辛い道を乗り越えて達成した貴重なDIPLOMA(卒業証書)です。誇りを持って人生を送って欲しい。何処にいても、何をしても自分を活かし得る人間を貴方方の文面から確かに感じ取れます。人生は長い、焦らずじっくり歩んで下さい。
イタリアでの全ての体験は、それぞれの心に深く刻まれて将来への糧として貴方方を支えて行く事でしょう。第2のスタート諦めぬ精神を信じています。
最後に 心からの感謝を込めて~。
貴方達の想いは、必ず後に続く後輩たちに大きな希望を齎してくれます。
これからイタリアに旅経つ後輩たちへ
1918年スペイン風邪の感染から100年以上たった現在、コロナ株が変異しながら、未だ世界中の人々を苦しみの渦に巻き込んでいます。
2019年9月イタリアに留学致しました学生さん、この年12月中国中部の武漢で初めて感染流行COVID-19(新型コロナウイルス感染)が報告され、翌年の2月、イタリア北部ロンバルディア州にある近くの小都市で多くの感染者が亡くなりました。軍用トラックで運び出すその光景を、日本のニュースで知る私は、言い尽くせぬ悲しみとこの世の物では無い恐怖感を覚えました。
人の命が無情にも消え去る映像は、事ある毎に私の脳裏に焼き付いて行くのだと~。
この様な未曽有の状況下、自国を離れて学校の勉強もまま成らない日々を3年近く異国で過ごした彼女達の卒業までの体験を書面にして頂きました。
是非、お読みください。
パラッツオ・スピネッリ芸術修復学院の目的は、人類の文化の発展と継承にあります。イタリア・フィレンツェの本部を要とし、ヨーロッパ各地に配置された分校・提携校に加え、また一つアジアにおける美術品修復学校をこの日本に誕生させることができました。
ELIA(芸術協会ヨーロッパ連盟)の常任を務めるパラッツオ・スピネッリ学院長F.アモデーイ氏の理念は、芸術の魂を壮大なスケールをもって、フィレンツェから世界へメッセージを送り続けています。
人々の意識が変わりつつあるこの時、アジアの中の我々のこの地で、修復を通 じ、人類への尊厳と文化への愛情の歴史を築くこのプロジェクトに、大きな包容力で、我々とともに歩んで下さるF.アモデーイ氏に私は、深い感謝の念をささげたい。
幾世紀もの間、人間は繰り返し地球の環境を破壊し、そして21世紀に入ろうとしている現在でも、戦争や核実験が行われています。宗教、民族の違い、失われて行くものは今だやみません。失われて行くものは人間だけでなく、人類が培ってきた尊い芸術作品も同じことです。私たちは、今私たちの出来ることをしたい。過去の作品を守って行くことと、過去の芸術家の精神を受け継ぎ、新しい作品を創造する環境をつくり上げて行くことは、当学院に課せられた使命です。自国の文化に誇りを持ち、世界の文化遺産にも貢献できる修復士を育成します。
どんなときでも人類が存在する限り、すべてのものが愛情から成り立つことも忘れずに、パラッツオ・スピネッリ芸術修復学院はメッセージを送り続けます。
船山 千尋 profile
個展・展覧会出品歴 (筆名:船山 ちひろ)
パラッツォ・スピネッリ芸術修復学院 前学長 フランチェスコ・アモーデイ
この日本とイタリアの有意義な共同プログラムを、始めるにあたり、パラッツオ・スピネッリ芸術修復学院、前学長として、喜びをもってご挨拶させていただきます。この東京ーフィレンツェのプロジェクトが、我々2国間の文化と芸術に大きな貢献を果 たしてくれると信じてやみません。
イタリア、フィレンツェで、長年の経験を積んで習熟した指導者とともに、当学院日本校で学ぶことによって、学生達は、教育システムが多様に異なった当パラッツオ・スピネッリ校のコースにより速やかに馴染む事が出来るでしょう。 同時にここで学生達は、基礎テクニックを習得するとともに、日本の文化とは遠く架け離れいる、それでいて身近な、互いに補い合うことのできるイタリアの伝統と文化を学ぶことでしょう。