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修復報告書

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ランビエンテ修復芸術学院 Istituto per il restauro "L'ambiente" 
徳川家収蔵作品 公爵徳川家達様御肖像 修復報告書 

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写真2. 処置前/全図通常光撮影(額装)

写真3. 処置前/裏面全図通常光撮影(額装)



 作品はガラス無しの額に入った状態で到着した 写真2写真3。 全体的にうっすらと埃に覆われていたが、特に目だった汚れは無かった。額右辺の石膏による装飾部に小さな欠損が多く見受けられ、下の木が見えていた。その他の部分は四隅の装飾部角と右辺を中心に小さな欠損が点在していたが、その他の箇所には欠損がほとんどなかった資料 4-14-2〉。また、額裏面 にはラベルが上辺縦方向に貼られており〈資料1 部分1〉以上のことから額は作品画面右側を下にして置かれていたと思われる。  

木の構造部については特に目立った劣化は見受けられず、装飾部の木の部分も割れや亀裂は無かった。額裏面 四隅角には補強のためと思われる木材が斜めに組み込まれている。また、額裏面 の四辺に高さ2cm程の角材が釘止めで追加され〈資料 3〉、その上から上下各2個、左右各3個の計10個の木製の止め具がねじ止めされていた〈資料1 部分5・6
〉。

 この角材があるため止め具が作品に届かないので、止め具と作品裏面 保護紙の間には小さな木辺が高さ調整のために入っていてさらにねじ止めされていた(下辺の2個は止め具に釘穴が無いことからもともと取り付けられなかったものと思われる)
〈資料1 部分5・6。なぜこのような特殊な構造になっているのか明確な理由は解明されなかったが、おそらく以前は2つの作品を同じ額に入れていたのではないかと思われる。

額裏面上辺右側には縦書きで

額第二三号 石橋和訓之筆
公爵徳川家達様御肖像

と書かれたラベルがのり付けされている〈資料1 部分1〉。

 額裏面下辺中央には無記入の白く細長いラベルがのり付けされ〈資料3〉、その右横に額に直接白い文字で

ISHIBASHI. K
  
の書き込み有り〈資料1 部分3〉。           

    額裏面左側下に黒いサインペンで書き込みが有るが、文字の半分が追加された角材によって隠されているので判読は不可能
〈資料1 部分4〉。  吊り金具が額に左右一箇所づつ付けられ、三重になった吊り用の針金が取り付けられていた。

作品

額裏側の止め具と高さ調節用木片で額に固定されていた。 画面左下に赤字で Kazunor Ishibashi 1926. と書かれた署名有り。

保護紙


作品裏面には両面に柿渋加工された厚紙が保護用に作品側辺で釘止めされていた。2箇所に3cm程の穴が空いていた
〈資料1 部分7〉。保護紙右上端には額にのり付けされているものと同じ内容の作品名ラベルがのり付けされていた〈資料1 部分2〉。

   
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<資料1 通常光による裏面観察>
 
○部分1・2
作品名・作者名ラベル
○部分3
作品名書込み部分
○部分4
黒サインペンでの 書込み部分
部分1
 
部分4
 
部分2
 
部分6   部分3 部分5 部分7
○柿渋を塗った裏面 保護紙
 
色表示部全体
○追加された角材
 
色表示部全体
○裏面 保護紙の穴
 
部分7・8
○高さ調整用木片
 
色表示部全体
 
 
 

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