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ランビエンテ修復芸術学院 Istituto per il restauro "L'ambiente" 
徳川家収蔵作品 徳川家正公御肖像 修復報告書 

 


額のガラス上には無数のカビ跡が確認され、作品を見えにくくしていた。 額及び作品上のカビは乾燥しており既に死滅しているものと思われた。


木枠


裏面木枠上にも全体的にカビ跡が見られた。


支持体


画布の張りの状態は良く、特に弛みや変形は無く、木枠も中桟のない構造であったが強度については特に問題は見られなかった。


地塗り層


薄いが側辺でも確認できるように充分な固着性を示していた。


絵具層


薄く人物像額及び襟部分に亀裂が見られるものの、油性で良好、剥離は見られなかった。画面 周辺部に表面の絵の具が乾燥する前に押された跡があり、作品を額に入れる際に生じたものと思われる。

資料1 可視光線/紫外線による観察結果
布の織ムラ
ニス斑


ニス層

画面全体にメディウムに茶色の顔料を混ぜたグレーズ及びニスのムラが顕著であり、画面 右下にニスの黄変が見られた。下辺左下の黒い椅子上の白色のカビ跡部分にニス層及び一部の絵の具層は非常に乾燥状態が見られた。 人物像左上背景部分に虫と思われる付着物が確認された。

以前の修復処置

特に以前に修復された箇所は見当たらなかった。

通常光撮影

ニスの劣化、白カビの跡により作品本来の色彩の鮮やかさが失われていた。 

斜光線撮影

画面左下人物像の右袖上に支持体の織りムラが見られた。

紫外線撮影

画面全面にムラにかかったニスの蛍光反応が見られた。画布が2本どりの縦横糸によるものだったため目のつまった太い糸で織られたような布目がでており、その凹部にニスが溜って点状に蛍光反応が主に画面 左上背景部分に見てとれた
写 真6. ガラス上のカビ
 写 真7. 絵具層表面カビ拡大写真
写 真8.処置前紫外線部分撮影


処置前/斜光線撮影
左:写真 9.修復前 全図斜光線
上:写真10.修復前 斜光線部分
上:画面左下人物像の右袖上に支持体の
上:織りムラが見られる。
   
 
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