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ランビエンテ修復芸術学院 Istituto per il restauro "L'ambiente" 
徳川家収蔵作品 公爵徳川家達様御肖像 修復報告書 


 

a資料4-1. 額表面欠損部分布図 < 部分拡大図 → P.9 >
 
額欠損部 1〜7

b資料4-2. 額表面欠損部分布図 < 部分拡大図 →P.10 >

 
額欠損部 8〜13
22.額の写真撮影および洗浄

調査の結果、付属の額は構造的な劣化はほとんど無く、装飾部の欠損もそれほど多くなかったため、修復し再使用することにした。まず修復処置前に記録写 真撮影を行った。次に表面に付いていた埃などの汚れを筆で掃きながら掃除機で吸い込みドライ洗浄を行った。

23.額装飾部の修復

 装飾剥離部をニカワ水(兎ニカワを水で1:13の割合で膨潤させたもの)で接着した。剥離は剥落部付近を中心に目立っていた。まず石膏と木の剥離しているすき間に細い筆でニカワ水を少しずつ入れ、シリコンフィルムを被せた上から重しを置いて圧着させそのまま乾燥させた。石膏は水溶性だったため、水分を入れすぎないように、また加熱をしないで接着を行った。その後剥落箇所に作品画面 で使用したのと同じ水溶性の石膏を使って充填整形をした。充填整形を行った箇所に金箔下地のためのボーロを塗った。ボーロは粘土質の赤茶色の顔料で金箔の接着剤の役目をし、更に金箔を磨いて光沢を出す時のクッション材の働きをする。ボーロ層の上に金箔を張り、周囲の金箔と色味と輝きを合わせるため不透明水彩 絵具で色を付けた。

24.額処置後写真撮影

処置を行った箇所の部分写真を撮影した。


25.裏面保護紙穴の繕い

 作品裏面の保護紙に空いていた2箇所の穴の繕いを和紙とやまと糊を使って行った。まず和紙を厚紙の間に一枚入れてやまと糊を水で溶いたもので接着し、更に裏側から和紙を穴の大きさより一回り大きく切ったものを貼り付けた。


26.裏面保護紙繕い部の補彩

 繕いをした和紙は白かったので、柿渋が塗ってある厚紙の色と合わせるため透明水彩 絵具で補彩をした。  


27.日付ラベルの裏打ち


作品裏面に貼られていた日付ラベルを和紙としょうふのりを使って裏打ちしてから裏面 保護紙に貼り戻した。

28.額装

 経年の酸性化の傾向を避けるために、額のかかりには”フィルモプラスタ−”という中性テープを裏面 から貼り、T字金具をネジでとめて額と作品を固定した。裏面には繕いをした保護紙をねじ止めして裏面 を覆った。

29.額装後写真記録

額装後の画面側及び裏面の全図を撮影した。

 
 
 

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