Kermes No.36 1999 sep-dec

 

アナーニの4人の教皇
I quattro Papi a Angni


 

 インノチェンツオ3世、グレゴリオ9世、アレッサンドロ4世、ボニファチョ7世を描いた作者不祥の4枚の絵の修復が完了した。作品は、アニャーニ大聖堂の聖物納室に保管されていて、18世紀中頃の作品と思われる。
 この修復は、1998年10月に開始され、ローマ文化財監督局の監修の下、コッラード・ロザーティ、ピエル・ルイージ・ヴィッラーリの指導により、ローマ芸術・工芸修復研究所(Istituto Italiano Arte Artigianato e Restauro di Roma )の学生たちによって修復された。
  4枚の絵は、だ円の絵によって包み込まれるような形で、プットや各々の教皇たちの紋章で装飾された木のベースメントの上に置かれていた。今回のこれらの作品に対する修復は、不安定な保存状態を改善するのが目的。作品は、色の剥落、地塗層の浮き上がり、剥離が見られ、深刻なひび割れに蝕まれていた。
  慎重な事前科学調査のあと、先ず最初に修復士たちは、新しい木枠に4枚の作品を移し替えた。充分なテンションをかけられるようにするためである。クリーニングは、希釈したニトロ、あるいは水+アンモニアで注意深くおこなわれた。欠損部分には、ボローニャ石膏と兎膠による充填が施され、その後、予定通りガッシュおよび樹脂絵の具による補彩作業で締めくくられた。
 また、栗の木でできた支持体にも念入りな保存処理が施されている。

 


ヨーロッパ基金「アスコリのために
Fondi europei per la provincia di Ascoli


 ヨーロッパ共同体は、アスコリ・ピチェーノ周辺の文化財修復のための資金を計上した。
 マルケ州文化評議会の公表によると、2億2800万リラがアペニン地方モンテファルコーネ宮に、1億7500万リラがモンテフォルティーノのレオパルディ宮に、3億5000万リラが、リパトランソーネのボノーミ宮に各々費やされる見込みである。


聖オルソ教会のモザイク
Un Mosaico a Sant'Orso


 アオスタの聖オルソ教会の内陣では、価値ある12世紀中期のモザイクが、脚光を浴びている。このモザイクの所存は、実に2年前の教会修復の時に明らかにされたのである。
  今や、モザイクは、黒、白、茶のテッセラが織り成す幅3メートルの巨体を道々と日の光にさらしているのである。作品の構図は、大きな四角形のベースに円が内接した形で、その中にサムソンとライオンの戦いが描かれている。 モザイク全体には、ドラゴン、彪、2匹の蛇と2尾の鷲を従えたトリトンなどの動物が散らばめられていて、学者たちの注目の的となっている。
  制作年代に関しては、断層測定値のほかにも、モザイクの中に記されているラテン語の記述と教会のロマネスク回廊に建つドーリア式円柱の柱頭のスタイルを考慮し、古文書学研究と照らし合わされて決定された。


法皇たちの財宝
I doni dei Papi


 2000年1月9日「法皇たちの財宝展」が閉幕する。
  美しく、価値の高い名品の数々は、数世紀に渡り世界各国より教皇に献上された金、銀細工で、現在は、ヴァティカン図書館に保存されている。 展示場で、貴重な聖骨箱、入念な細工の施された塩入れ、とてつもなく高価な壷などに<謁見>することができるのである。これらの財宝とともに、ヴァティカン・カトリック図書館所蔵の高価な品々も展示されている。 接することが困難な財宝に<お目にかかれる>唯一の機会といっても良いだろう。
 この展覧会は、ペルージャ貯蓄銀行が協賛している。


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