学院出版 ナルディーニ出版 その他の出版 日本の参考文献
インデックス パラッツオ・スピネッリ芸術修復学院 コース案内 エキシビション 出版案内


Restauro dei dipiniti su tavola
 
 
「板絵の修復」-支持体 
 エミリア・ロマーニャ州立<自然芸術文化財研究所>は1974年、エミリア・ロマーニャ州の要請で設立され、同州と地方自治体の科学技術顧問機関である。 研究所では、書籍・資料財産の管理、文化財の価値付け、保護と修復を計画的に行っている。ここのリサーチとプロモーションの原動力となるモットーは、「文化財の知識を有すること」「文化財を保存すること」「文化財を価値付けること」「文化財から感動を受けること」である。


「板絵の修復」-支持体 

<著者>
エミリア・ロマーニャ州立<自然芸術文化財研究所>

板絵は、美術史上最も重要で、意味深い章を提示してきた。中世初期から14世紀後半まで、数限り無い傑作がこのテクニックで生み出されてきた。ジョットやチマブーエの大磔刑図からドゥッチョやピエロ・デッラ・フランチェスカ、そしてベアト・アンジェリコ、ボッティチェッリやベッカフーミまで。
  しかし板絵の修復の見地から見るとき様々な種類や度合いの問題が定義されている。これは板絵が種々異なった素材で構築されているからに他ならない。 板の支持体、塗り重ねられた地塗り、絵画フィルム...これらのパートが時代とともに、各々様々に変容することによって問題が生じる。板絵は、環境がおよぼす影響に対しては、非常に敏感なのである。
 
木の支持体の保存に関連する特殊な問題は、エミリア・ロマーニャ州立<自然芸術文化財研究所>の日常の研究テーマであった。またその為にフェッラーラに<芸術、修復、保存の第5サロン>を設立した。
  設立にあたっては、フィレンツェの修復ラボや国立輝石修復研究所の修復士や技師たちが招かれ、様々な絵画と修復に関する技術と調査分析等の知識が伝えられた。それらは、イタリアの代表的な支持体作りの技術から、損傷の原因、殺菌、害虫駆除、補強、亀裂の修復、分離した板絵の接着、保存と管理のシステムまで幅広いものだった。
 
この書は、学会等に発表された研究資料を収集しており、この分野に関して 最も明確で、時代に即した<技術>と<修復の規律>を知ることができる。複雑で特殊な素材、重要で風化しやすい我々の文化財保存の重要性を認識させられる。

 

Copyright(c)1993  1993初版