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ランビエンテ修復芸術学院 Istituto per il restauro "L'ambiente" 
徳川家収蔵作品 須田輝州 初夏之夕立 修復報告書 

 
通常光写真

表面の埃、ニスの劣化、白カビの跡により作品本来の色彩 の鮮やかさ風景の奥行感が失われていた。

斜光線写真

画面左上の白い雲、樹木の厚塗り部分(マチエールが厚い部分は1mm程度)及び絵具層の亀裂が確認された。(写 真9)右辺中央の異物による凸状変形が確認できた。

写真5. 全図斜光線撮影

 
   
紫外線観察

画面の暗雲上に無数の濃紫、白雲上に無数の薄紫斑点の蛍光反応が確認でき、どちらも通 常光では特 に艶がなく、カビ跡である可能性が高い。

 濃紫斑(黴と思われる)
   通 常光では艶消しグレー色
 薄紫点状の蛍光反応
   通 常光では艶消し白色
 絵の具跡(黒色)
 チョーク跡
   
資料3. 紫外線蛍光反応  
   
   
 写 真6. 絵具層上の黴の痕跡  写 真7. 絵具層上の黴の痕跡
 写 真8. 絵具層上の亀裂  写 真9. 絵具層上の亀裂
マイクロスコープ
及び斜光による観察


画面の無数の斑点部分は凹状になっており、絵具がカビに浸食されたものと思われる。(写 真6) 画面灰色部分には黒い斑点が見られ、カビの薄茶色の胞子が観察できる。 (写真7)

作品が受けた埃による汚損、カビによる害、水染みは保存されていた環境がその原因と考えられる。今後の保存を考慮するとなるべく湿度の影響、ほこり等の汚損の可能性の少ない場所での保管が望ましいと考えられる。
   
 
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