古典の偉大な芸術家は、自分が使うマテリアルの取り扱い方を熟知していた。
今日の修復文化もこのような認識を持っていなければならない。今日の科学を持ってすれば、そこから得られるものは非常に大きい筈である。
このベースを持って、はじめてメソードに従った修復が始められるのである。つまり、 オリジナルの基礎的要素に適合し、時間の流れにも耐えられるようなマテリアルを利用することができるようになるのである。
このテキストでは、次ぎに関することが事が詳しく述べられている:
1.絵画の材料の特性について
2.考えられ得る変質と例外的な変質
3. 環境による相互作用
また、修復に使われる伝統的な素材と現代の素材が比較して検証され、保存修復技術の用方に従って、表で見比べられるようになっている。
第2部では、様々な物質の特性と扱い方を理解するための化学の基本原理が解説されている。
マウロ・マッテイーニとアルカンジェロ・モレスは、イタリア文化環境庁所属の化学エキスパートたちである。彼等は、イタリアが外心を込めて創った科学分析ラボを持つ2つの国立修復研究所のひとつ<輝石修復研究所>とフィレンツェの修復ラボで研究を続けている。
彼等は、毎日新しい保存修復の問題に直面し、また世界各国から協力要請を受けることもしばしばである。輝石修復研究所付属修復学校では、藝用化学、修復化学、文化財の調査メソードを教えている。
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