「修復理論と方法論体系」 全2巻
<著者> ウンベルト・バルディーニ
ここで語られていることは、毎日のように板絵と向き合い困難な保存に挑んだ美術史家が、30年間後得ることができた成熟した果実のごとき真実である。 この書の特徴は、かつてなかった独創性に満ちた具体的な修復の批評がおこなわれていることとその方法が確立されていることである。それはまた、最終章において、方法論体系に統一性をもたらす結果ともなっている。実際の修復作業のセクションにおいても、系統的な論述、透明性溢れる解明、正確・適確な指示によって、技術的な解決法を提示している。 この<修復の倫理>を解いた類い稀な書は、美術史家はいうまでもなく、修復士や修復技術士などのコンサバターにとっても必読書である。