静岡新聞

恩師の油絵3点を修復
修善寺の遺族へ


東京、芸術学院の船山さんら

●静岡新聞編集局情報調査部の転載許可済み●
 東京・八王子の「ランビエンテ修復芸術学院」(船山千尋学院長、駿東郡清水町出身)の学生らが修復に取り組んでいた田方郡修善寺町の画家、大城鎮雄さん=故人=の作品が約二年の作業を終えて二十一日、遺族に返却される。自身の恩師である大城さんの作品のT復活Uに「描かれた当時の姿がまさによみがえった」と船山さん。大城さんの長男伸彦さん(61)も「形見のように思っている作品。とても楽しみにしている」と声を弾ませる。
講師の指導を受けながら自らの力で修復した大城さんの2作品を囲む学生ら=東京八王子のランビエンテ修復芸術学院

 
 学生らが大城さんの油絵の修復を手掛けることになったのは二年前、本場イタリアの専門家を招いたセミナーで、伸彦さんの好意により蔵の中に眠っていた作品が修復対象として貸し出されたことがきっかけになった。セミナーで修復された二作品のほか、いずれも昭和初期に描かれた「南伊豆の海」と自画像へ静物画の三点を借り受け、作業に当たってきた、同校一年の芹沢邦子さん(21)=御殿場市在住=は「普段美術館で作品を鑑賞する時にも、絵の見方が変わりました。ささやかだけれど、得たものがあるような気がします」と話す。
 大城さんは船山さんが大仁高在学時の美術講師。船山さんがイタリア国立美術学院に入学するなど美術の道を志すきっかけを与えてくれたという。船山さんは「(修復された)絵を見ていると、T美Uに魅了された魂を感じます。生徒にそれを伝えることに生きがいを感じていたのでしよう」と話した。「南伊豆の海」と静物画の二作品は二十一日、修善寺町に届け、自画像も年内には修復、返却の予定という。

静岡新聞 平成12年(2000年)9月21日


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