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修復報告書

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ランビエンテ修復芸術学院 Istituto per il restauro "L'ambiente" 
徳川家収蔵作品 公爵徳川家達様御肖像 修復報告書 

 
以前の修復処置

キャンバス側辺に現在のものと違うくぎ穴跡が見られるため、張り直しが行われている。

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徳川家収蔵作品 公爵徳川家達様御肖像 修復報告書 


 
写真9. 処置前/全図紫外線蛍光反応撮影
通常光写 真

 ニスむら、背景の光沢のむら、画面左辺側から下辺にかけての画面 乾燥による白色化、上辺および署名上、本の一部の絵具層剥落、人物右耳付近の修整、額右辺金箔および石膏装飾部の剥落が確認できる(写 真1)。   

斜光線写真

画面左側の張りむらによるキャンバスの凹凸状の変形が多く見られる。画面 全体にある縦方向の布目が顕著であり、画面右側背景には横方向のしわも見られ、これはキャンバスの張りむらや弛みが原因と思われる。椅子の一部には絵具層の盛り上げが確認できる
(写 真4)

紫外線観察

 画面全面にムラにかかったニスの蛍光反応が見られた。目視では見えない画面 左側のニスの存在も蛍光反応により明らかになった。ニスは作品を立てた状態で刷毛を使って塗布されたと思われ、ニスが垂れている様子が確認できる
(資料 3)・(写真 9)。  人物右耳の周囲および額左側の一部、襟口に暗色反応が見られ、この部分はニス塗布後に修整されている。また背景の一部にもニス塗布後に修整された部分と思われる暗色反応が有る。写 真では見えなくなっているが、左下の赤字のサインがニス層の上からされていることが確認されており、画家が前記の修整後に完成としてサインをしたのではないかと推測される。赤色を含む画面 右側の背景一部と本の一部、人物右耳と頬の一部にオレンジ色の蛍光反応が見られ、この反応の特徴からレーキ系顔料を含む絵具が使われたと思われる。
   
 
写 真10. 処置前
/マクロ撮影(書籍部分)
  写真11. 処置後
/マクロ撮影(書籍部分)
 
 
写真12. 処置前
/部分撮影(書籍部全体)
  写真13. 処置前
/部分撮影(書籍部全体)
 
写真14. 処置前 /部分斜光線撮影(署名部)
 

写真15. 処置後 /部分斜光線撮影(署名部)
 
 

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